木を切らない・傷つけない配管穴施工
エアコンを取り付けるためには、多くの場合、室内から屋外へ冷媒管や電線、ドレンホースを通すための配管穴を開けます。
穴の大きさは約70Φ。見た目だけなら、壁に丸い穴を一つ開ける工事です。
しかし弊社では、この穴あけを単なる「配管を通すための作業」とは考えていません。
壁の中には、柱、筋交い、間柱、ボードを固定するための下地や母材、電線、接合金物、断熱材、防湿シート、構造用面材など、さまざまなものが存在しています。そのすべてが、室内側から見えているわけではありません。
だから重要なのは、きれいな穴を開けられることだけではなく、その場所に、本当に穴を開けてよいのかを見極めること。
ここから、弊社の配管穴施工は始まります。
配管穴の位置は、見た目だけでは決めません
配管穴は、室内機が取り付けばどこでもよいわけではありません。
室内機の収まり、専用コンセントとの位置関係、配管の取り回し、窓、カーテンレール、壁、廻り縁、通気口など、周囲の条件を見ながら穴位置を検討します。
今回写真でご紹介する現場も、配管穴を設けられる範囲はかなり限られていました。左には壁、下にはコンセントと通気口、右にはカーテンレール、上には廻り縁があります。
このような条件では、単純に「空いている場所」へ穴を開ければよいわけではありません。
まず室内機の据付板を実際に壁へ当て、室内機が無理なく収まる位置を確認します。そのうえで寸法を取り、配管穴の中心位置を割り出します。
室内機の収まりと周囲条件を確認しながら、配管穴の中心位置を決定します。
図面だけでも、経験だけでも決めません
新築一戸建てでは、施工前に平面図や平面詳細図なども確認します。
図面から柱や壁の位置を読み取り、これまでの経験から躯体の位置をある程度予測します。
しかし、図面を見たから、そのまま穴を開けるわけではありません。
住宅は人が設計し、人が施工して造るものです。図面上の納まりと、実際の壁内部の状態が完全に同じとは限りません。
だから最後は、必ず実際の壁を確認します。
壁を叩き、音と振動も確認します
穴位置の候補が決まったら、実際の壁を叩きます。
壁内部に空間がある場所と、下地や木部がある場所では、音の反響や手に返ってくる振動が異なることがあります。
もちろん、壁を叩くだけで穴位置を確定することはありません。
図面、経験、音、振動。複数の情報を重ねながら、壁内部の状態を絞り込んでいきます。
壁の中を見ずに、穴は開けません
ここからが、弊社の配管穴施工で特に重要な確認です。
弊社では、壁内部を探るために、先端を細く尖らせた自作の針状工具を使用しています。この工具を壁へ差し込み、目視できない内部を一つずつ探っていきます。
まず配管穴のセンター位置を確認します。そこで何もないことが分かったら、今度はその周囲を確認します。
配管穴は一点ではありません。約70Φの円です。
そのためセンターだけではなく、上、下、左、右など、実際にコアドリルが通過する範囲を細かく探ります。
柱、間柱、筋交い、電線、ボルトや接合金物、その他の障害物。
配管穴の範囲内に干渉するものがないと判断できるまで、確認を続けます。
一点だけではなく、約70Φの開口範囲全体を探り、壁内部に干渉物がないことを確認します。
細いドリルを「確認用」に使わない理由
パイロットホールを設ける際、細いドリルを使う方法もあります。
弊社では、この方法を採用していません。
理由は明確です。ドリルは、確認する道具ではなく切削する道具だからです。
壁内部に何があるのか分かっていない状態で回転するドリルを差し込み、その先に電線があれば、被覆や電線そのものを傷付ける可能性があります。場合によっては、漏電や短絡、感電などにつながる可能性もあります。
最初の確認で必要なのは、穴を開けることではありません。穴を開けてもよい場所なのかを確認することです。
だから弊社では、回転する刃物ではなく、手へ伝わる感触を確認できる針状工具を使用します。
下地探しや壁裏センサーだけにも頼りません
針式の下地探しや電子式の壁裏センサーは、用途によっては非常に便利な工具です。
しかし、それだけを根拠に配管穴位置を決定することはありません。
針式の下地探しは、比較的壁面に近い柱や間柱を確認するには有効ですが、壁内部を斜めに通る筋交いまでは針が届かないことがあります。
電子式センサーも、探知できる深さや壁材、内部構成によって反応が変わります。また、エアコン用の下地が壁一面へ入っている住宅では、どこを探しても木材を検出する状態になることがあります。
つまり、「下地がないと出た」ことと、「その奥まで何もない」ことは同じではありません。
弊社では、一つの工具に判断を任せません。
穿孔前に、室内を汚さないための準備をします
壁内部の確認が終わったら、穿孔前の養生へ進みます。
コアドリルで石膏ボードを穿孔すると、細かな粉じんや切りカスが発生します。そのため弊社では、コアドリルへ専用の防塵カバーを取り付けます。
さらに配管穴の真下には、切りカスを受けるための袋を設置します。この袋を壁へ固定する際には、粘着力の弱い紙製の養生テープを使用します。
壁紙へ強い粘着力のテープを貼れば、剥がす際にクロス表面へ負担を掛けることがあります。
非常に小さな違いですが、後で掃除すればよいのではなく、最初からできるだけ汚さない。
それも施工品質の一部だと考えています。
防塵カバーと切りカス受けを併用し、室内への粉じん飛散をできる限り抑えます。
いきなり外壁まで貫通させません
穿孔に入っても、最初から壁のすべてを一気に抜くことはありません。
まず穿孔するのは、一番手前の石膏ボードです。石膏ボードを抜いたら、その先を確認します。そこには、断熱材や防湿シートなどがあります。
事前に壁内部を確認していても、本開口に入ってからも確認を止めません。
一層進む。その先を見る。また一層進む。その繰り返しです。
まず石膏ボードだけを穿孔。壁内部を確認してから、次の層へ進みます。
断熱材をコアドリルへ巻き込ませない
石膏ボードを抜いたあと、断熱材と防湿シートを確認します。
ここでも、そのままコアドリルを回し続けることはしません。
断熱材を回転するコアドリルへ巻き込んでしまえば、配管穴の周辺だけではなく、壁内部の広い範囲の断熱材まで引っ張られ、損傷する可能性があります。
そのため、防湿シートと断熱材には必要な切り込みを入れ、穿孔範囲の外側へ丁寧に寄せます。
配管穴として必要な部分だけを開ける。その周囲まで一緒に壊さない。
ここも大切にしている部分です。
断熱材をコアドリルへ巻き込ませないよう、必要範囲だけ処理してから次の層へ進みます。
外へ向かって、わずかな下り勾配を付けます
配管穴は水平に開けるのではなく、室内側から屋外側へ向かって、わずかに下り勾配を付けて穿孔します。
配管やドレンを適切に納めるためにも、穴の向きは重要です。
穴の場所だけでなく、どの角度で開けるか。
そこまで含めて配管穴施工です。
構造用面材、そして外壁へ
断熱材、防湿シートまで確認したら、さらにその先の構造用面材、外壁材へ進みます。
ここでも、一気に何も考えず穿孔するわけではありません。その先に何があるかを確認しながら、必要な層を順番に穿孔します。
そして最後に、室内から屋外まで配管穴が貫通します。
木を切らない、傷付けない
弊社では、基本的に壁内部の木部を切らない、傷付けないことを前提として穴位置を検討します。
柱、筋交い、間柱、ボードを固定するための下地や母材。
「主要な躯体ではないから切ってよい」とは考えません。
木部へ干渉することが分かった場合は、穴位置や施工方法を再検討します。
なお、配管穴として通過する構造用面材や外壁側の胴縁などについては別です。それぞれの部材の役割を理解したうえで、必要な貫通を行い、その後に必要な処理を行います。
狭い場所ほど、確認の差が出ます
今回の写真には、非常に分かりやすい施工例があります。
一つは、管柱と間柱の間。もう一つは、窓横の非常に狭い位置。さらに、右側に柱、左側に筋交いがある場所です。
どれも、少し位置を誤れば木部へ干渉する条件です。
しかし、事前に内部を細かく確認し、穿孔中も一層ずつ確認していくことで、木部へ干渉せず必要な位置へ配管穴を設けることができます。
周囲に木部が近接する条件でも、事前確認を重ね、干渉を避けて穿孔しています。
なぜ、ここまで確認するのか
過去に弊社へ手直しや点検のご相談をいただいた現場では、配管穴が木部へ干渉している施工を確認することがあります。
一度穴を開けたあとで木部が見つかり、位置を変更したと考えられる大きな開口。配管穴の内部で、木部そのものをコアドリルで削っている施工。スリーブを入れると一見きれいに見えるものの、その奥で木部が欠損している例。
こうした状態を実際に見てきました。
ここで大切なのは、特定の施工業者を批判することではありません。
なぜ本開口前の確認が必要なのか。
それを知っていただくための一例です。
過去に手直し・点検のご相談で確認した例。穴が開いたことと、正しく穴が開けられたことは同じではありません。
スリーブが入っている=安心、でもありません
配管穴へスリーブが入っていると、一見きれいに施工されているように見えます。
しかし、スリーブを入れたことで、その奥の状態が見えなくなることもあります。
実際に確認すると、スリーブのすぐ横で木部が大きく削られている例もあります。
スリーブが入っていることと、木部を傷付けずに穿孔されていることは別の話です。
完成後には見えなくなる場所だからこそ、施工する側が、開ける前に確認する必要があります。
穴あけに「絶対」はありません
住宅は人が設計し、人が造り、エアコン工事も人が行います。
壁内部は複雑で、図面だけでは分からない納まりや、予期していなかった部材が存在する場合もあります。
だから弊社では、「絶対に穴あけで失敗しません」とは申し上げません。
一方で、株式会社クアトロテクノサービスでは、開業以来、配管穴の穴あけで一度も失敗したことはございません。
これは偶然ではなく、慎重に確認を積み重ねてきた結果であると自負しております。
しかし、その実績があるからといって、「これまで大丈夫だったから、今回も大丈夫だろう」とは考えません。
勘や慣例に頼らず、その壁ごとに確認します
弊社では、勘や慣例だけを頼りに配管穴を開けることはありません。
住宅は一棟一棟違います。たとえ同じ工法、似た間取りであっても、壁内部までまったく同じとは限りません。
だからこそ、その現場、その壁ごとに時間と手間を掛けて内部を探ります。
図面を確認し、壁の音や振動を確かめ、自作の針道具で配管穴の範囲を細かく探ります。さらに本開口に入ってからも、一層ずつその先を確認しながら穿孔を進めます。
躯体や電線、金物へ干渉しないと判断できるまで、確認を省略しません。
そこまで確認して、初めて配管穴を開けます。
弊社がここまで慎重に施工する理由は、特別なことをしているからではありません。
お客様から、大切なお住まいへのエアコン設置を任せていただいた責任を、確実に果たすためです。
木を切らない。傷付けない。
穴を開ける技術だけではなく、穴を開けてよい場所を見極める技術。
これが、株式会社クアトロテクノサービスの配管穴施工です。


