外壁材に合わせた固定・止水・防錆施工
エアコン工事で住宅へ開ける穴と聞くと、多くの方が最初に思い浮かべるのは、冷媒管や電線、ドレンホースを通すための配管穴ではないでしょうか。
もちろん配管穴は、住宅の外壁から室内までを貫通する大きな穴ですから、弊社でも非常に重要な施工箇所として扱っています。しかし、エアコン工事で住宅へ開ける穴は配管穴だけではありません。
屋外の配管を保護し、仕上がりを整える配管化粧カバーも、外壁へ複数本のビスを打って固定します。一本一本は数mm程度の小さな穴ですが、住宅へ新しい穴を開けていることに変わりはありません。
弊社では、大きな配管穴は丁寧に処理する一方で、小さな固定ビスは軽く考える、という施工は行いません。
なお、本ページでご紹介するビス穴の止水・防錆処理は、弊社のオプション工事「ダクトネジ穴防水」の施工内容です。
固定できれば、それでよいとは考えていません
配管化粧カバーを取り付けるだけなら、必要な位置へビスを打ち、カバーが動かないよう固定すれば形にはなります。
しかし弊社では、そのビスが何に効いているのか、どこまで入っているのか、その奥に何があるのかまで考えます。さらに、ビス穴から水が入る可能性、ビスそのものの腐食、住宅側の防水層への影響まで確認したうえで固定方法を決めています。
住宅の外壁には、窯業系サイディング、ALC、ガルバリウム鋼板などさまざまな種類があります。材質も厚みも性質も違う以上、使用するビスや長さ、固定方法、防水・防錆についての考え方まで同じにはできません。
「化粧カバーだから、いつもこのビス」ではありません。
窯業系サイディングでは、まずビスの長さを考えます
条件の合う窯業系サイディングでは、弊社は28mmのコーススレッドを使用しています。
外壁材の厚みや状態、壁構成を確認したうえで必要な保持力を確保しながら、ビス先端を通気層内で止め、その先にある透湿防水シートまでは到達させません。
配管化粧カバーを強く固定するために、長いビスを使用して透湿防水シートを貫通し、そのさらに奥の構造用面材へ効かせる方法もあります。しかし弊社では、条件の合う窯業系サイディングで、固定力を得るためだけにそこまで長いビスを使用する必要はないと考えています。
短いビスとコーキング材を併用した固定については、実施工を想定した状態で社内でも保持状態を確認しています。数値化した試験ではありませんが、実際に強い力を掛け、配管化粧カバーを保持するうえで十分な固定状態が得られることを確認したうえで採用している方法です。
必要な固定力は確保する。そのために、住宅の防水層へ余計な穴まで開ける必要はない。
開けてから防水するより、そもそも防水層へ穴を開けない。
これが弊社の考え方です。
透湿防水シートへ開いた穴を、外側から処理できるのか
一般的な外壁通気構法では、透湿防水シートはサイディングのすぐ裏側ではなく、通気層のさらに奥にあります。
長いビスが透湿防水シートを貫通したとしても、外壁表面から確認できるのは数mm程度のビス穴だけです。しかし、本当に防水処理を行いたい場所は外壁表面ではなく、通気層の奥にある透湿防水シートの貫通箇所です。
完成した外壁の数mmの穴から、その奥にある透湿防水シートの貫通部分を直接確認し、防水テープを圧着するなどの確実な処理を行うことは物理的にできません。
外壁表面のビス穴へコーキング材を入れることと、透湿防水シートそのものに開いた穴を処理することは別の話です。
だからこそ、条件が合う住宅では最初から透湿防水シートまでビスを到達させない施工を選択しています。
ダクトネジ穴防水は、こう施工しています
ここからが、今回撮影した実際の施工です。
まず配管化粧カバーの固定位置へ、変成シリコン系のコーキング材をあらかじめ塗布します。
ビスを打つ前に、固定位置へ変成シリコン系コーキング材を塗布します。
その上からビスを打ち込みますが、一度締めて終了ではありません。
一度打ち込んだビスを抜き、ビスへ絡んだコーキング材をビス穴の奥へ押し込みます。その後、何度かビスを抜き差ししながら、コーキング材をビス表面とビス穴内部へなじませていきます。
最終的には、コーキング材で覆われたビスが、コーキング材で処理されたビス穴へ入る状態をつくって固定します。
ビスを締めたあとに、頭の周囲へコーキングを塗るだけの処理ではありません。ビスとビス穴が接する部分そのものを止水することを目的としています。
また、ビス表面を変成シリコンで覆うことで、水分との直接的な接触を抑え、腐食やサビの抑制にもつなげています。
止水と防錆。
一本のビスで、その両方を考えています。
実際に腐食した固定ビス
過去に確認した配管化粧カバー固定ビスには、ビス頭だけでなく先端側までサビが進んでいる例がありました。
先端まで腐食していることから、外壁表面だけではなく、ビス穴の奥側まで水分・湿気の影響が及んでいた可能性があります。
弊社では、ビス穴の止水だけでなく、ビス自体をコーキング材で覆い、防錆まで考えて施工しています。
ビス先端まで腐食している例。小さなビス穴であっても、奥側まで水分や湿気の影響が及ぶ可能性を考えます。
防水処理をしたあとに、別の場所を汚さない
ネジ穴防水が終わったあとには、冷媒配管、電線、ドレンホースなどの接続や取り回しが続きます。
この段階では配管類がまだ動くため、未硬化のコーキング材へ触れ、そのコーキングが関係のない外壁面へ付着する可能性があります。
防水のために行った処理で住宅を汚してしまっては、本末転倒です。
そこで弊社では、処理したビス周辺を紙養生テープで一時的に保護してから、その後の配管作業を行います。
未硬化のコーキング材が配管類へ付着し、別の外壁面を汚さないよう一時的に養生します。
ビス頭の十字溝を、あえて埋めません
今回の施工写真を見ると、最終的に固定されたビスの十字溝が確認できます。
これにも理由があります。
エアコンは、いつか交換する設備です。次回の入れ替え工事では、現在取り付けている配管化粧カバーを取り外す可能性があります。
そのとき、ビス頭の十字溝までコーキング材で埋まっていると、ドライバービットが確実に掛かりにくくなり、ビットが逃げたりビス頭を傷めたりする原因になります。
だから止水・防錆に必要な処理は行いながら、将来ビスを外すための十字溝は使える状態に残します。
取り付けた今日だけではなく、次に取り外す日のことまで考える。
これも弊社の施工です。
ALC外壁では、ALC専用ビスを使用します
ALC外壁の場合は、窯業系サイディングと同じビスを使用しません。
ALCは厚みがあり、材質も異なるため、一般的なコーススレッドでは必要な保持力を得にくくなります。そのため弊社ではALC専用ビスを使用し、外壁の厚みに合わせて適切な長さを選定します。
また、ALCは吸水性の高い建材です。配管穴の切り口や化粧カバー固定ビス穴など、エアコン工事によって新しく生じる部分については、特に止水を重視します。
ビス穴処理の基本的な考え方は同じです。変成シリコン系コーキング材をビス穴内部へなじませ、コーキング材で覆われたALC専用ビスを固定します。
使用するビスや長さは変わっても、穴を開けた以上、その穴を確実に処理する。
この考え方は変わりません。
ガルバリウム鋼板では、サビと異種金属腐食まで考えます
ガルバリウム鋼板は、窯業系サイディングやALCとは性質の異なる金属系外壁材です。
耐食性に優れた建材ですが、配管穴やビス穴を開けたり、施工中に塗膜を傷付けたりすれば、その部分は施工前と同じ状態ではありません。塗膜やめっき層が失われ、金属素地が露出する可能性があります。
弊社では、ガルバリウム鋼板へ配管化粧カバーを固定する際にはステンレス製ビスを使用します。
ただし「ステンレスだから錆びにくい。これで終わり」とは考えません。
ガルバリウム鋼板とステンレスは異なる金属です。水分が介在する条件が続けば、異種金属接触腐食についても考える必要があります。
そのためガルバリウム鋼板でも、ビス穴内部へ変成シリコン系コーキング材をなじませ、ビス自体もコーキング材で覆った状態で固定します。ビス穴からの水分侵入を抑え、ビスそのものを水分から守り、異種金属の接触部分へ水分が介在し続ける状態をできるだけつくらないよう施工します。
配管穴の切り口や、施工によって塗膜が失われた箇所についても、そのままにはしません。
金属外壁では、穴を開けたあとまでが施工です。
外壁材が変われば、施工方法も変わります
窯業系サイディング、ALC、ガルバリウム鋼板。
同じ配管化粧カバーを取り付ける工事でも、弊社では同じ方法をそのまま当てはめません。
窯業系サイディングでは、条件が合えば短いビスを使用し、透湿防水シートまで到達させない。ALCでは、材質と厚みに合わせた専用ビスを使用し、吸水性を考慮して確実に止水する。ガルバリウム鋼板では、ステンレスビスを使用しながら止水・防錆・異種金属腐食まで考える。
方法は違います。
しかし考えていることは同じです。
その外壁材に必要な固定力を確保しながら、住宅へ余計なダメージを与えない。
「ダクトネジ穴防水」はオプション工事です
ここまでご紹介したビス穴内部の止水・防錆処理は、弊社の「ダクトネジ穴防水」オプション工事として承っています。
通常の配管化粧カバー施工へ自動的に含まれるものではありません。外壁材や壁構成、施工条件を確認したうえで対応いたしますので、ご希望の場合はお問い合わせ時に「ダクトネジ穴防水希望」とお知らせください。
一本のビスでも、その後まで考える
配管化粧カバーの固定ビスは、完成後にはほとんど見えません。
しかし、その一本がどこまで入っているのか。何を貫通しているのか。水は入らないか。錆びないか。そして、10年後の入れ替え工事で問題なく外せるのか。
弊社では、そこまで含めて考えています。
ただ取り付ければいいわけではありません。
止水する。防錆する。住宅を汚さない。そして、将来きちんと外せるようにしておく。
大きな配管穴だけではなく、一本のビスまで住宅工事として考える。
それが、株式会社クアトロテクノサービスの配管化粧カバー施工です。
